Appleは、2024年1月25日、デジタル市場法(DMA)へ対応するため、EU領域内において、iOS、Safari、App Storeの変更を発表しています。
変更点はそれぞれ以下の通りとなっています。
iOSの変更点
- App Store以外(代替アプリマーケットプレイス)でのiOSアプリの提供(サイドローディング)
- デベロッパが、ブラウザアプリやブラウジング機能内蔵アプリに、WebKit以外のブラウザエンジンを使用可能に
- デベロッパが、iPhoneやiOSのハードウェア機能とソフトウェア機能の相互運用性に関する追加リクエストの提出が可能に
Appleはこの変更に伴い、ユーザーやデバイスのリスクを低減するため以下のセーフガード措置を「iOS 17.4」から導入することを案内しています。
- 配布経路に関わらずすべてのアプリに対して自動チェックと人手による確認の組み合わせで行うiOSアプリの公証
- 公証プロセスで得た情報を元にダウンロード前にデベロッパ名やスクリーンショットなどを用いて、アプリの内容や機能について一目で確認できる説明の提供
- マーケットプレイスのデベロッパが、ユーザーやデベロッパを保護するための継続的な要件を確実に遵守するためのマーケットプレイスデベロッパの認定
- iOSアプリがユーザーのデバイスにインストールされたあとにマルウェアに感染していることが判明した場合、そのアプリを起動しないようにするマルウェア対策の強化
Safariの変更点
iOSでは、iOS14以降Safari以外のWebブラウザをデフォルトのブラウザに設定することが可能となっていますが、「iOS 17.4」からは、Safariを最初に開いた時に選択画面の表示が新たに導入されます。
App Storeの変更点
- デベロッパのアプリ内で、デジタル商品やサービスの決済が可能に
- ユーザーは、デベロッパの外部ウェブサイトで、デジタル商品やサービスの購入の決済が可能に。また、デベロッパは、アプリ外で利用できるプロモーションや割引などの情報を、EU域内のユーザーに通知することが可能に
- EU域内のアプリに対するAppleの新しい取引条件に関して、デベロッパが手数料の試算やメトリクスの確認などを行うためのビジネスプランニングツールの導入
この他、デベロッパに対する新たな取引条件では、iOSアプリの手数料として売り上げの10%または17%をAppleに支払う必要があります。また、Appleの決済処理を利用する場合は別途3%必要。自身のアプリ内で決済サービスプロバイダを利用したり、自身のウェブサイトにユーザーをリンクして決済処理を行う場合は決済手数料は不要。
また、初回インストール件数が年間100万件の基準値を超えた場合、インストールごとに毎年0.50ユーロの支払いが必要となります。
主にデベロッパ向けの内容となっていますが、ユーザー視点では、App Store以外の代替アプリマーケットプレイスからiOSアプリのダウンロードが可能となることや、アプリ内でデジタル商品やサービスの決済(代替決済処理)が可能となることが大きな変更となっています。
Appleは注意点として、この代替決済処理を利用するアプリについては、Appleは返金を行うことができないとしており、問題行為、詐欺、不正行為などの被害に遭ったユーザーのサポート範囲が限定されると案内しています。
この他、「問題を報告」「ファミリー共有」「承認と購入のリクエスト」などのApp Storeの機能も、これらの取引には非対応となっているため、悪意のある人々にお金に関する機密情報を盗み出される機会を増やしてしまう可能性があると注意喚起しています。
また、App Storeでは、ユーザーの購入履歴やサブスクリプションの管理にはApp Storeのアプリ内課金のシステムを用いて行われた取引のみ反映されるようになります。
なお、これらの変更は、3月上旬にリリース予定の「iOS 17.4」からEU圏内において利用可能となります。なお、この変更はiOS(iPhone)が対象となっており、iPadOS(iPad)は対象外となっています。
詳細はデベロッパサポートページから確認できます。
・Update on apps distributed in the European Union – サポート – Apple Developer